改めて、マーケティングとは何か

「マーケティング」とかかわる仕事を手掛けるようになったのは、前職の人材教育会社でマーケティング企画部(という名称だったと思う)に転属となった28歳くらいの時以来だから、かれこれ四半世紀(25年)にもなります。

当時は、年間4億円超の広告予算を使って、国家資格取得のための教育商品に関する、いわゆる募集広告をオペレーションしていました。また、広告予算に加えて販促予算(パンフレットなどの制作・印刷予算は「販促費」名目でした)が、やはり数億円ありましたから、広告費+販促費でトータル10億円近い年間予算を預かり、プロモーション展開を担っていたわけです。今にして思えば、年間10億円近いプロモーション予算を自在に切り盛りする経験は、とても貴重なものでしたし、その経験が今日のオズプランニングにおけるマーケティング・プロデュースの礎になっていることは確かで、これはもう、当時勤務していた会社に感謝してもし切れないほどの恩義であると思っています。

 

さて、それはそれとして。

今日の企業活動においてマーケティングがいかに重要か、ということについては議論の余地はないと思っていますが、多くのビジネスパーソンが重要性を認識していながらも、「マーケティングとは何か」という定義については、実にまちまちに認識していることも事実です。

 

先日、とあるスーパーマーケット・チェーンのトップの方にお会いする機会がありました。

当社の事業内容について、「マーケティングを軸として、売上・利益の向上に関する施策展開をお手伝いしています」ということを説明すると、「意識調査や市場調査などを通じて、消費者の動向を理解することは大切だと思うが、わが社は、より安全で、よれ安心できる食材について、独自の視点で品揃えすることに注力していて、その結果が今日の成長の根本にある。もちろん、消費者を組織化して、定期的にご意見を伺い、それを商品選定の参考にするという取り組みはしているが、やはり重要なのは、“自分の足で、良い商品を見つけ出すこと”だ。市場調査のようなものをあまり重視していないんだ」というようなことをおっしゃられました。

私の説明が舌足らずで、十分に事業内容や取り組み姿勢などを説明できていなかったことが最大の問題なのですが、私の説明不足問題以上に、マーケティングについては、人によって理解が異なるということが、とても問題だなとも思った次第です。

そのトップの方にとっては、マーケティングとは市場調査とほぼ同義語だったということでしょう。

それ自体は、間違いではないので、特に否定することもなく、お話しを進めましたが、実は「マーケティングの仕事をやっています」というと、人によって、「広告ですか」「販促ですか」「市場調査ですか」というように返されることが少なくありません。どれも間違いではないのですが、正解でもないと思っています。

 

そもそも、マーケティングという言葉が日本語になっていないことが問題なんでしょうね。

マネジメントは「経営」と訳された。プロダクトは「生産・製品」と訳された。でも、なぜか「マーケティング」は日本語でも「マーケティング」なのです。

マーケティングについての定義はさまざま存在します。

AMA(アメリカマーケテイング協会)の定義、JMA(日本マーケティング協会)の定義、コトラーの定義などなど。

それぞれ本質的には大きく違うことはないのだけれど、微妙に異なってもいます。

このあたりが、「マーケティング」という言葉から連想される意味合いの齟齬を生んでいるような気がします。また、マーケティングの発展経緯も影響しているのでしょう。

でも、そんなことを嘆いていてもしかたありません。

いまの環境の中で、人によって解釈が異なることを前提に、私たちはマーケティングという側面から、企業活動を支援する活動を続けざるを得ません。

 

そこで、わがオズプランニングが考える「マーケティングとは何か」という定義について、ちょっとだけ触れておきたいと思います。

 

私たちオズプランニングでは、「マーケティングは、企業活動の推進エンジンである」と定義づけています。企業活動の根幹である、ということです。

マーケティングを語る上では、経営の諸機能のひとつとして取り上げられることが多いです。財務戦略や人材戦略、製品戦略などと並んで「マーケティング戦略」がある、という考え方です。

しかし、私は、マーケティングは企業活動の出発点であり、企業活動のあらゆる機能に目標(目的)を付与する、最上位概念だと考えています。

 

マーケティングの本質は、「顧客を見定め、顧客に受け入れてもらえる製品・サービスを開発し、正しく伝え、より効率的に、より多く購入していただく」ためのすべての活動だと思っています。

これって、企業の事業活動そのものだと思いませんか?

製品・サービスが先か、ターゲット顧客が先か、という問題はあるにしろ、モノやサービスを、より多くの顧客に買ってもらうことが、すべての企業活動の根本であり、それはそのままマーケティングのテーマなのです。

だから、「経営」という概念の下に「マーケティング」があるのではなく、“マーケティング活動を円滑に進めるために企業経営がある”というのが、私の持論です。

 

このように考えると、ドラッカーがいった「企業の基本機能とは、マーケティングとイノベーションである」という言葉が実にしっくりと腑に落ちるのです。もっといえば、イノベーションも、マーケティングに基づいて行われるべき、という気もするのですが。。。

 

次回、もう少しマーケティングについて、突っ込んだお話しをしてみたいと思います。