改めて、マーケティングとは何か ~その2~

かなり昔のハナシですが、水口健次先生の講演を聞きに行ったことがあります。サラリーマン時代だったか、独立してからなのか、ちょっと記憶があいまいですが、20年ほど昔のハナシであることは間違いありません。

いずれにしろ、バブル経済が崩壊して、日本はやるせないリセッションの時期でした。ビジネスパーソンたちは、「こんにちは」の代わりに、「いやー、不景気で困りましたね」を挨拶にしていました。そういう時期のセミナーで、水口先生は開口一番(だったかどうか定かではないが)「売れない、売れない、とみんな言っている。でも、アサヒ・スーパードライは売れている」。「売れない商品やサービスを見て、不景気だ、不況だという前に、伸びている会社のマーケティングをしっかりと見ろ」というようなことをおっしゃいました(ゼンゼン、正確ではないですが、そんなニュアンスのことをおっしゃったのです)。目から鱗でしたね。そりゃそうだ。ビジネスはゲームだ。ゲームだから勝敗がある。勝つ者と負ける者がいるんです。「全員負け」なんてことはあり得ない。さすがだな、と思いました。

その水口先生が「コトラーのマーケティング体系は、雄大なロッキー山脈のように見事だ」とフィリップ・コトラー先生をベタ褒めしていました。
実は、私自身、マーケティングの世界に魅力を感じるようになったのは、フィリップ・コトラーの「マーケティング・マネジメント」を読んで以来です。以降、コトラー先生を“神”と仰ぐようになりました。
よって、コトラーのマーティング体系をして、「雄大なロッキー山脈のような」と形容した水口先生もまた、私にとっては“神”のような存在と言わざるを得ません。

さて、それはそれとして。
前回、マーケティングという概念は、経営(マネジメント)という概念よりも上位に位置づけられるべきものだというお話をしました。
わがオズプランニングにとっては、
マーケティングとは「顧客を見定め、顧客に受け入れてもらえる製品・サービスを開発し、正しく伝え、より効率的に、より多く購入していただくためのすべてのアクション」であり、「経営の在り方を決定する最上位概念」にして、「企業活動の推進エンジン」なのです。

何か新しい事業アイディアを思いつく。それを具現化するために、次に何を考えるか。それは、「その事業は儲かるのか?」ということでしょう。つまり、どんな人が、どれだけ買ってくれるのか、を考えるわけです。一定のボリュームで、そのアイディア(商品やサービスに置き換わっているものとします)を買ってくれる人(企業)がなければ、事業としては成立しないわけですから。
「どんな人が」は、ターゲット・マーケットのことであり、「どれだけ買ってくれるか」は、マーケット・ボリュームのことです。
その事業を、既存の会社で具現化するのか、自分で会社を興して具現化するのか、という問題以前に、「それは、どんな人達が買ってくれるのか。その人たちはどれぐらいのボリュームで存在するのか」をまず考えるわけです。
これって、マーケティングそのものなのです。

つまり、ビジネスの出発点はマーケティング以外の何物でもないということです。

学問としての「マーケティング」を認識しているかどうかは別として、ビジネスとは、すべからく「マーケティング」を出発点としているといっても過言ではないと思っています。
わがオズプランニングが、「マーケティングは、マネジメントよりも上位にある概念だ」と主張するゆえんはここにあります。

まず「誰に、何を、どれだけ売るのか」というマーケティング視点の戦略があって、その戦略の実効性を担保するために、組織を動かすマネジメントが必要になります。組織とは“人”であり、「人を動かす」ためには、人的資源管理が必要となり、商品を作ったり、社員に給料を払ったりすることも必要になるので、財務戦略を考えなくてはならない。効率的な製品やサービスを生み出すための製品戦略も必要になるでしょうし、製品を流通させるためのチャネル戦略も必要になるわけです。

よって、戦略の概念を上位から下位につなげていくとすれば、
「マーケティング戦略」→「経営戦略」という順番になります。
そして、経営戦略の中には、個別機能としての製品戦略や人事戦略、財務戦略や流通戦略などが存在する、という構図です。
どうですか? マーケティングは、あらゆるビジネス戦略概念の中で、最上位に位置するものだということがご納得いただけるのではないでしょうか。

マーケティングなくしてビジネスはない、ビジネスなくしてマネジメントはない、というのが、わがオズプランニングの主張です。

これほどビジネスにおいて、あるいは企業経営において重要性の高い「マーケティング」であるにも関わらず、このワードから連想することが、『市場調査』であったり、『広告・販促』であったり、『販売』であったりするのは、個人的にはちょっと残念なのです。

もちろん、市場調査もマーケティングだし、広告・販促も販売も、マーケティングが取り扱うテーマであり、とても重要な企業活動の機能です。
しかし、厳密にいえば、これらは「マーケティングの一部」を構成しているだけであって、「マーケティングそのもの」ではないのだということを、より多くの方に理解していただきたいと思う、今日この頃です。